佃　典彦

男は、失職し、妻から離婚を迫られ、おまけに母を失って、八方塞がりの状態だ。そんな時、同居する父が突然ぬけがらを残して、二十数才も若返る。その後も父は次々とぬけがらを脱ぎ、そのたびに若い父となってみせる。生まれる前の父の姿を知りながら、それはまた自分との関係を修復していく体験でもあった。
奇抜な設定を、スピード感たっぷりに、軽く、おかしく、軽快に処理していくエンタテインメント。
第50回岸田国士戯曲賞受賞作

登場人物　男７人　女４人　四百字原稿用紙換算約２７０枚

とあるビルの屋上。小さなお稲荷さんのほこらが据えられている。
一心に稲荷神社のためにキツネの石像を刻んでいる男がいる。その男に、殺してくれるように依頼したまた別の男。ビルの屋上を緑化する運動を促進する女もいる。あるいは迷子になった猫が見つかりますよう祈る女。奇妙な状況を背負った人々が、この狭い空間を出入りし、その奇妙さはますますからまってゆく。

登場人物　男４人　女４人　四百字原稿用紙換算約１６０枚