土橋淳志

都心のとある神社の境内、大停電の発生した東京のそこだけ光が漏れるコンビニの駐車場、何かとの衝突によって停止したフェリーの甲板、ベケットの「ゴドーを待ちながら」をモチーフに、場面は小気味よく転換し、ゴジラならぬゴドージラにより蹂躙される東京を、守るためアトムまでが登場。
軽さの中に、やがて浮かび上がるのは、はるか遠くから帰る場所を求めてさすらう魂の物語ではないか。

登場人物　男１２人　女５人。四百字原稿用紙換算約１５３枚

撮影者によりビデオカメラがセットされ。八人の証言者がそれぞれ席に着く。大阪のメイドカフェ「ゆーとぴあ」で働いていたルミは、ある事件に遭遇する。謎多き彼女の素顔を探るドキュメントが進行し、証言は断片的に次々と集められていくのだが、解かれるどころか謎はますます深まっていく。ルミとは一体誰で、どこから来てどこへ向かっていたのだろうか。

登場人物　男６人　女５人。四百字原稿用紙換算約９６枚

現代に生きる魔女の姉妹、彼女たちの師匠を殺しヤクザたちの生活風景、劇団の解散を決めて演劇仲間たちの姿、戯曲ワークショップの講師と生徒たち。まるでバラバラに見えるエピソードは、いつか多重の入れ子構造となって絡み合い、異端として排除されてきた魔女とは、実は自由で多義的な生き方の体現だったのではないかという視点が浮かび上がり、同時にそれは、長い間差別されてきた女性性への援護射撃のメタファーにまで手が届く。

登場人物　男１３人　女９人。四百字原稿用紙換算約２６０枚