田宮ヨシノリ

父の死をきっかけに家を出る準備にひとしきりの女1。姉・女2のなぜ今?の問いかけに、父母はそれほどでもないけど姉ちゃんが嫌いだからと女1。理由は、家族なら問題ないような些細なことだが、だからこそ家族とは一緒にいられないのだという。
空港への路上で寝袋にくるまったバックパッカーの青年を拾った女1は、なぜか封鎖されている飛行場の事務職員をさらに連れ立ちにし、三人で船に乗ろうと港にむかう道すがら、街なんてどこもおんなじ風景である。家を出てどこへ行こうというのか。
どこならたどり着けた気持ちになれるのか。家に帰るとは距離の問題なのか、心の問題なのか。開けっぱなしのようなロードムービー。いやロードドラマ。
登場人物 男2人 女2人 上演時間70分

女1の部屋。女1は足の爪を骨折したという理由で会社を欠勤しているが、それがあまり長く連絡も取れないために同僚女2が様子を見に来ると、会社に戻らない訳はハッキリしないし、あとで登場する女1の彼男1と女2が浮気していたのをすで知っていたらしく、彼氏に別れを告げるもののその理由もどうも別のところにあるようだ。また、妹女3が実家に戻ろうよ、と誘うも、気持ちも経済もその方がずっと楽になるはずなのに拒む。それはたとえば、「生きたくない」でもそれは死にたいということじゃない、と女1が言うような、なにか心の中にモヤモヤとわだかまり続ける桎梏のせいらしい。静かでさみしくて刺さってくる作品。(第32回OMS戯曲賞 最終候補作品)
登場人物 男2人 女3人 上演時間85分

前田と木島が中学の卒業記念にタトゥーを彫ろうか、痛いかな、などと話している。
別の場所で、神保と鈴木が、穴を掘っている。なにか剣呑なものを埋めようとしている雰囲気。
また別の場所、高校の手洗い場で、鈴木と前田は、好きな動物はサンショウウオなどと喋っている。
大きな予備校の廊下で上地が鈴木に話しかけている。
誰もが生きていく中で得たもの、失っていくもの、変わっていくはずがないのに変わってしまったもの、若者たちの微妙な心のありさまをナイーブに描き出す会話劇。
登場人物 男3人 女2人 400字詰め原稿用紙換算約160枚
