カゲヤマ気象台

「世紀の大犯罪者ケニー・Ｇ（ゴジマ）は１９９３年、遥か木星の衛星エウロパに流刑された。それから１０ 年。調査隊の一団はゴジマの生死を確認するため、探査船タイタニックゴウに乗り込み、木星に向けて航路をとった」その時テクノロジーは人間を二重化するまでに進み、エウロパに向かう探査船の乗組員は、同時に地球にもいる。という設定。
しかし作品の中身は、非連続の言葉、意識、イメージのたたみかけとして進行し、まとまった物語やメッセージを結ばない自己内省の世界記述が、独特のタッチで展開されていく。

登場人物　６人(男女の設定なし)　原稿用紙約５０枚

舞台上には便器がひとつある。
開演前の劇場に波の音が聞こえている。
物語は一つの便器の上に座った男の語りから始まる。あるいはすべてが便器に座った男の脳に浮かび上がってくる記憶、空想が生み出しているのかも知れない。対話劇ではない。むしろ対話はほとんど成立していない。脈絡のない意識の流れの姿をそのままに綴っていく詩劇か。小説で言えば、ヴァージニア・エルフ、ジェイムズ・ジョイス風の文体とも言えよう。とにかく、便器に座った時の話、それだけは言える。

登場人物　男３人　原稿用紙約３０枚