上岡久美子(うえおか　くみこ)

木庭の家庭は冷え切っていた。
20年間暮らしてきた妻も彼も、互いに興味をなくし、セックスレスの状態も長く続いていた。
そんなある日木庭はアカネという女と知り合い、急速に接近する。
アカネは木庭を頼り切って、とびきりの優しさも見せ、木庭は人生始まって以来の幸せを感じていた。
だがその幸せには、ある罠が隠されていた。

登場人物　男１人　女３人　４００字詰め原稿用紙約８１枚

-セックスのことになると嘘をつく人間の記録と征服と服従を繰り返す人類の記憶について-

ホテルの最上階から飛び降りて死んだイリカとは誰だったったのか。
南米三世の彼女の抱いた愛とは何だったのか。
ルポライター一ノ瀬がその謎を解こうとするとき、彼の訪れた関係者たちの、切実、冷淡、あるいはどうしようもなく失われた愛の姿までもが浮かび上がってくる。

登場人物　男５人　女５人　４００字詰め原稿用紙約１３５枚

東日本大震災からコロナ禍の時代まで。
愛妻の美子ちゃんと別れたトラックドライバーの多沢永吉は、もう一度よしこちゃんと家庭を持つことを夢見て、山梨から静岡へと荷を運んでいる。と、そこへふるさと福島から、母多美子によるよしこちゃん死去の知らせが。愕然とする永吉。
その思いを引きづりながら、熱海にさしかかると、人生の崖っぷちに立つ一人の女が、自殺名所の本当の崖っぷちに立っていた。トラックを降りて、女に話しかける永吉。
災害によって人生を狂わされた男の新しい人生が始まるかもしれない。

登場人物　男４人　女４人　４００字詰め原稿用紙約８３枚